将来構想 -『総合ハザードMAP』提供サービス-
全国の自治体では、河川反乱、崖などの崩壊危険地、津波予想図などのハザードマップを作製していますが、近年、新たに発見される活断層や、線状降雨帯や台風などにより地下や崖に蓄積された保水による水害被害予測、また地下に埋設された上下水管などの老朽化問題、道路下の陥没問題など『地面の下』に眠るハザードマップを作ることを目的としたプロジェクトです。天気図に倣って『地気図(地面下の情報)』と命名し、地域の被害予測に役立てたいと願っています。
「地気図」地震予知情報プラットフォームの概要

・独自の手法に固持しない。
・精度の向上のため、 他のシステムとの多重化も考慮。
・早期の開発を行うには、 多くの地域や国での実験が必要。

一つのモデルデータにとらわれず 地震発生可能性の危険度の推定精度を向上
※宏観異常現象: 地鳴り、地下水、温泉、 海水の水位変動、 水質の変化、 動物の異常行動、 天体や気象現象の異常、 通信機器、電磁波の異常など、 大規模な有感地震の前兆現象として知覚されるとされている現象
補足:リアルタイムハザードマップ検討例
ハザードマップと対応させた実況監視技術の研究

宏観現象の概要
宏観異常現象とは, 人々が視覚や聴覚といった五感によって自然界の異常を観察できる現象のことである.例えば, 犬が意味もなく悲しく吠えたり, 馬や牛が突然騒いだり、冬眠中の蛇が地中から出てくるなどする動物の異常、 季節はずれの開花や結実などの植物の異常, 井戸や温泉, 河川の水位 や水質の異常,さらには、 発光現象, 異常気象, 鳴動など様々ある. これらの異常現象が地震に先立ち、もしくは同時に観察されたとして世界各地か らの報告が残されている. 「宏観異常現象」という言葉は中国語から由来した経緯 (力武, 1998, 2001) からも, 中国では宏観異常現象の研究は盛ん なようである (地震問答編集グループ, 1978; 中国安徽省地震局, 1979; 中国科学院生物物理研究所地震グループ, 1979; 尾池, 1978). 特に世界 で初めて地震予知に成功したと伝えられた1975年の海城地震 (M=7.3)の先行現象には動物異常行動をはじめとする様々な宏観異常現象が考慮され たと報告された ( 蒋, 1979).
動物異常行動に関する研究報告
日本における研究は, MILNE(1888), 今村(1927, 1931,1943), 武者 (1931, 1932, 1935,1957)が過去の様々な記録を収集した. 力武 (1978a, 1978b, 1979, 1983, 1986, 1987a, 1987b, 1998, 2001), 力武 鈴木(1979) は大地震に関わるアンケート調査を実施して地震の規模や距離など との関係を探ると共に, 地震予知への応用に関して包括的議論をおこなった. 弘原海 (1995)は1995年兵庫県南部地震の1519件の証言を収集して取 りまとめた. 日本での異常報告は魚に関するものが多く見受けられる.
魚類と地震との関係に関して, TERADA (1932a, b, 1933) はアジの漁獲量と地震発生回数との相関が高いことを報告した.
末廣 (1933, 1949, 1968, 1971, 1975,1976), SUYEHIRO (1934)は地震に対するハマトビウオやリュウグウノツカイなどの様々な魚類の異常生 態に関する事例を報告した. その後のアジの漁獲量と地震との関係に関してはTOMODA and HIRONAGA (1989)がTERADA (1932a, b, 1933)と同 様な指摘をしている. 東京都水産試験場では東京都防災会議地震部会の研究の一環として, ナマズを供試魚とした”魚類の異常生態に関する調査研 究” を1976年~1992年の約16年間実施した(東京都防災会議地震部会, 1980-1992) 課題は残るとしているが, ナマズの異常行動と東京都の震度3 以上の地震において, 10日前までに異常行動の見られたものが3割1分であったと報告している.
最近の研究では, 横井 (2003) は, 1995年の兵庫県南部地震 (Mi=7.3) 2008年の中国四川大地震 (Mw=7.9) の直前にマウスの活動に変化 が認められたと報告した. 山内 (2014) は東北地方太平洋沖地震(Mw=9.0) に先立ち、犬・猫, 搾乳牛と採卵鶏における生産データに変化が認 められたと報告した.
別の角度からは織原ら (2019) によって深海魚の出現と地震との関連性を統計的に検証した結果、 深海魚出現がその近傍での大地震発生に必ずし も結びついていないことを報告した. 観察による異常とされる現象と地震発生が結びつく心理的な作用の影響の大きいことが窺える重要な研究結果 であり、病的科学、 疑似科学への議論へ一石を投じた
近年のIoT技術などの発展にともない動物観察が容易となったことが背景となり, 全世界の研究者たちが協力しあって, 動物たちに小型の送信機を 取り付け, 衛星などを利用して活動データを収集するシステムの運用を始めた. このシステムはICARUS (イカルス) と名付けられ, データは共有 化されて誰もが解析を行うことが可能のようである. このグループのメンバーでもあるドイツのマックスプランク動物行動研究所とコンスタンツ大 学の研究者らが, イタリア北部の牧場で牛、羊、犬に小型センサーを取り付けて行動を解析した結果, 地震との関連を指摘するとともに早期警報システムへの活用を提案している.
動物異常行動の要因について
動物異常行動は, 地震活動に関係する物理・化学的要素が視覚、聴覚、嗅覚、触覚, 味覚, 温度覚、痛覚, 振動覚, 平衡覚, 電気覚などに刺激を与えるこ とから誘発される可能性が考えられている (力武 1978, 1979; トリブッチ, 1985) 動物異常行動については,1976年に開催された国際会議 (EVERNDEN, J., 1976)において地電流, 磁場, 大気電場、 大気イオン, 大気振動、地殻微振動などの様々な要因が議論された. Tributsch (1978, 1982, 1985) は世界中の動物異常行動の記録を収集し詳細に分析を行った結果、 その要因として帯電エアロゾル説を提唱した. 近年は、地震に関係 する可能性のある電磁気現象(上田, 2001; 長尾, 2001)が注目されている (例えば池谷 1996). また、 自ら刺激を受けなくとも、 行動変化は動物 間を伝達、 連鎖することなども考えられ、 生物学、 動物学などの見地が求められる. 現在のところ地震活動に関係する物理・化学的要素と動物の行 動との関係は十分に明らかにされていない.
早期地震警報への組み込み
現状では宏観異常現象は科学的には不確実な現象であると言える. 動物異常行動などの存在や要因に関する科学的な研究を進める重要性は言うまで もないが,一方, 地震予知もしくは早期地震警報のための要素として, 積極的かつチャレンジングに検証を試みる価値があると考える. かつて,力武(1975) は, 土地変形, 傾斜歪, 前震, b値, 微小地震活動, 発震メカニズム, 断層クリープ異常,地震波速度異常,地磁気・地 電流,土地電気比抵抗, ラドン, 地下水, 石油湧出量などの過去の地震先行現象の解析を行い, 先行時間と規模(マグニチュード)の関係から、第一 種,第二種先行現象の2つに大きく分類を行った. 第一種先行現象は, log10T (日)=0.76M (規模)-1.83の直線付近のものであり、 先行時間はM=6 で1.5年, M=7で8.5年, M=8で49年となる. 第二種先行現象はMとは無関係でlog10T (日) =-1付近に固まっているものであり、先行時間が10 時間以内, ピーク1~2時間の先行現象である.さらに, log10T (日)=1付近のピークを第三種先行現象として, 数日から10日程度の先行時間 が存在する可能性を指摘した. これらは地球物理学的な先行現象であるが,一方で動物学的先行現象の解析を行った結果, 地球物理学的な先行現象 では認められないlog10T (日)=0付近にピークを示したことから、両者が補完関係であることの重要性を示した. ただし, 動物学的な先行現象の報 告は証言に基づくものが多く、 事後の心理的な作用が含まれていることは否定できないとした. 否定的な考察は存在するが, 人間の作るセンサーよ りも優れている動物の感覚を超感度センサーとして役立つ可能性を追求する
ことには価値があるとして, 全国での動物の監視ネットーワークの構築を提案した. 動物の挙動の定量化については, 日々の観察やセンサーを用い た行動の数値化 (例えばネズミの回し車の回転数), 既にある畜産分野の乳量や卵の生産量などの数値データを利用する手法などを示した (力武, 1978) 1970 年代では想像できなかった, 近年のパソコンやスマートフォン, IoTセンサーなどの技術発展は,原理的に専門家・機関を問わず 容易に世界規模で動物の行動のみならず地球科学的な要素を24時間モニタリングすることが可能となったといえる.
宏観現象の参考チャート/マルチセンサーブラットフォーム⇒地図のエレメント
研究開発の背景
地震に先行する動物異常行動の存在は証明されていない。 しかしなが ら人間が作るセンサーよりも高感度である動物センサーが地球上に無 数に存在しているという視点から、 その利用価値が指摘されている。 近年のパソコンやスマートフォン、IoTセンサーなどの急速な技術発展は、 いままで不可能であった専門機関を問わない世界規模での動物の24 時間モニタリングを可能とするものであり、 科学的データの収集および 解析ツールとしての活用が期待される。
ここでは、パソコン、スマートフォン、IoTセンサーなどを利用して、 全国で 飼育されているハムスターの回し車の回転数を収集して共有化する ネットワークと、付随する環境データなどの収集ネットワークの構築につ いて提案する。
動物の異常行動
異常行動は、 地震活動に関係する物理・化学的要素が視覚、聴覚 嗅覚、触覚、味覚、 温度党、痛覚. 振動党, 平衡党、 電気党などに適 激を与えることから誘発される可能性が考えられる。 動物異常行動につ いては、地電流、磁場、 大気電場, 大気イオン、 大気振動、地殻微振動 などの様々な要因が議論されている。 近年の研究では、1995年兵庫 県南部地震と2008年四川地震の数日前にマウスの概日リズムに変 化が認められたと報告された。 東北地方太平洋沖地震では搾乳量の 変化が認められたと報告されている。
ハムスターの観察ネットワークの構築
動物行動を観察して収集する様々なアイデアは古くから考えられている。 その中で、 比較的飼育が容易なハムスターに着目し、 毎晩の回し車の データを収集して共有化するネットワークの構築を目指す。
システム概要

事業検討内容
1. 全国のハムスターの回し車の回転数を収集するシステムを実験的に開発する。 回 し車に磁石を取り付けて、 回転信号をコイルで拾いパソコンのマイク入力へ入力して 記録すると共に、データを送信する機能を持つアプリケーションとなる。
2. スマホでハムスターの回し車の回転数を計測できるアプリを開発する。 磁石を回 し車に取り付けて、回転信号をスマホの磁場センサーで計測する仕様である。合わ せて、そして収集されたデータを、 ビックデータとして、 地震予知の研究 ( 異常現象)にも寄与することが期待されるloTクラウドサービスを構築する。
概算事業
●宏観異常現象に着目したセンサーネットワークの検討
●コミュニティサイトによる情報共有
●事業化検討

